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テラプレイは、「問題のある子どもと養育者との関係」に介入する遊戯療法の技法のひとつで、欧米、アフリカ、豪州、極東(韓国)各国で広く知られるようになってきました。
1960年代末シカゴで、米国連邦政府のヘッドスタート計画(貧しい子どもたちが入学後に集団生活へ入る構えができるよう就学前教育をする試み)の進行中に予想を上回る数の「プロジェクトにうまく乗らない子どもたち」が発見されました。彼らに対して従来の心理分析的な手法では時間的財政的に対応不可能であると気付かれ、A. ジンバーグ率いるチームにより、より簡単で、安価で、効果のある介入方法を求める試みの中からテラプレイが生まれました。当初専門家学生主婦らヴォランティアを動員して「ともかくこどもと遊ぶ」ことから始め、その後の試行錯誤を経て、高度に専門的な教育を受けた治療者を必要とせず、特殊で難しい技能や道具を必要とせず、対人関係の問題・愛着関係の問題・自己制御の問題などを抱える多様な子供たちへ介入するのに有効な方法として形作られてきました。
セッションの基本は、「そこそこ良い普通の母good enough motherが、健康なこどもに、日常的に行っていること。」を計画的に再現し、構造化された関係性の中で子どもに体験させることです。関係性の良い親子の間では何がなされているかを抽出して理論化したところに、鍵があります。
養育者から子どもへの働きかけを4つの「次元」(4次元世界ですね)でとらえます。
・慈しみ(世話する)
・構造をあたえる。
・関与する、相手になってやる。
・挑戦させる。
の4つです。Good enough motherのしていることは、この四つに分類できます。
慈しみ(世話する、かわいがる):子どもは、「衣食住」のみならず、それと同等かそれ以上に「安全と平和、その恒常性への保障」を必要としています。こどもの必要とするもの(ニーズ)を、代償なしに、積極的に満たしてやることによって、子どもは「世界は自分の必要を満たしてくれるところである」と信頼し、助けを求めることができると知り、また、自分は「必要を満たされる資格をもつ、認められた存在ある」と自己評価を高めます。
構造をあたえる:こどものすべきことは、親が責任を持って線引きをします。何をするか決める責任を持つのは養育者であって、子どもではありません。状況判断も先の見通しを持つこともできない年齢で「自分で選ぶ(選んだ結果の責任も持たされる)」のは幼児には重圧です。たとえ「××したい」と子どもが言っても、その結果何が起きるかについて理解していませんし、ましてや起きたことの後始末をするには幼すぎることはよくあります。親が構造を作ることで、子どもは親に代わって自分が責任をとる重圧から解放され、安心して、頼ることができ、落ち着きます。親の支持に従っていれば安全であると知れば、かえって言うことをよく聞くようになります。
関与する、相手をしてやる:向き合って視線を合わせ、お互いに話したり触れあったり遊んだり、かかわりあいを楽しみます。これは、子供の活力や意欲をたかめ、その結果学習能力も高めます。対人関係の技術も学びます。
挑戦させる:今できることを適切に評価して、半歩先の、成功可能な課題に挑戦させ、うまくいくように支えます。一つ一つ成功することで子どもは自信を深めます。
セッションではこれらの要素を、設定した日常的な遊びの場面に組み込んで治療者がやって見せ、親を教育していきます。世話はしているが、かかわり合っていない(=子供の言うことを聞いていない、一方的な)養育者はよく見ますね。「子どもに自由にさせる」と言って幼児に決定を任せてしまう親も多いです。後で「あなたがやりたいと言ったのよ。じぶんで言ったのだから…」と叱るパターンですね。
上のような話をしながら、テラピストが養育者の役割を取って親にもかかわり合っていくと、親自身が「どうして自分は子供と向き合えないのか?」と考え始めます。親だけのセッションも同時並行で行うとより有効ですが、養育者がその経過の中で自分の育ちの問題やトラウマに思い至り、その事実に直面できると、子どもも変わります。
現在その治療適応は、種々の子どもの「問題行動」、(再婚などの)複合家族・国際結婚・養子・里子・介入後の虐待家族などの「親子関係」の再構築、発達障碍をもつ子どもとの関係性構築の「訓練」など多岐にわたっており、特に最近「虐待」(子どもからはトラウマ)と「発達障害」での成果に注目が集まっています。
通常のセッション・スケジュールは
初めに、The Marschak Interaction Method (MIM)とよばれる親子関係性を評価するための構造化されたテストをします。それは、簡単な、かかわり合い―遊びの指示を数個出して、親子の行動をビデオに撮って観察します。これを分析して子育ての 4つの課題のうち良くできている部分を親にフィードバックします。その後で、30分から50分の遊びのセッションを数回から20回くらいやります。毎回数個から十数個の遊びを、子どもとテラピストで、さらに親をその能力に応じて巻き込んで一緒に遊びます。この中で、子どもが変わり、親も変わっていきます。個別セッションを行うかどうかとは別に、「親のあり方―4つの課題」の理解は普遍的な知識として役立ちます。昨今のように子育てを「自然に」学ぶ機会がなく、自分の経験としても多かれ少なかれトラウマを背負っている養育者にとっては、本やインターネットでノウハウ情報を集めるだけでは得られぬ知恵−経験がここにあります。また、教室や施設での集団的遊戯療法グループテラプレイも試みられています。
テラプレイの技法を学び、自分で使用するためには、テラプレイはアメリカイリノイ州ウィルミッテ市にある、非営利法人であるテラプレイ研究所(The Theraplay®Institute)が、商標使用の権利を持って、テラピストの教育、資格認定、使用許可などを行っています。つまりこの技法を使用するにはTTIの認定する講習を受け許諾を受ける必要があります。
● 初級入門講座 通常4日(逐語通訳のつく場合は5日)
これを認定される、「テラプレイを学びその精神でテラピーを行う」と称する事が許されます。
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中級講座 通常3日(同上4日)
セッション途上の自症例のビデオを1回分持って参加します
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上級講座 通常2日
自症例の紹介をします。
この間に200セッションを行い、30セッションのスーパーバイズを受け、症例提示で水準を満たしていると認定されると、認定テラプレイテラピストと名乗ることが許されます。(詳細はHPをご覧ください)
フィンランドやイギリスでは、母子保健政策上重要な介入手段として国家事業に取り入れられています。テラプレイに関するテキストも新しく出版されました。
注記:テラプレイはテラプレイ®研究所(米国イリノイ州ウイルミッテ市オールドグレンビュー通り3330番地8)の登録商標です。
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