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2009年6月

 

久保隆司先生へインタビュー


今回は、先日「The Body Remembers: The Psychophysiology of Trauma and Trauma Treatment」(B. Rothschild)の日本語訳「PTSDとトラウマの心理療法:心身統合アプローチの理論と実践」(創元社刊)を出版された、久保隆司先生にインタビューします。

Q: 久保先生、こんにちは。9月から私たちのプログラムに参加いただいて、教鞭を取っていただき、どうもありがとうございます。CSPPの東京サテライトキャンパスの印象はどうですか?

A: CSPPではまだ1年目ですが、自由な環境でクラスを担当させていただき感謝しています。諸先生方やスタッフの方にも親切にしていただき、非常にやりやすく感じています。また新しい四ツ谷のキャンパスは交通の便がよいですね。

Q: 久保先生はどのクラスを教えていらっしゃるのですか?

A: 1年生のスクーリング・クラスの「臨床心理学特講」と小グループのオンライン・クラスの「修士論文セミナー」とを担当しています。私自身のアメリカでの経験を踏まえながら、力になったと思う方法や、日本ではあまり知られていないことなども含め、クラスに取り入れるよう努めています。

Q: 授業での学生の印象はいかがですか?

A: 幅広い年齢層にわたる様々な人生経験、職業経歴を持った方々が、臨床心理の学びを深めたいという共通の目的意識の元で、一緒に学べる環境はすばらしいと思います。個性豊かな人ばかりで、私の方も学ばせていただきながら、クラスを楽しんでいます。特にCSPPの場合は、既存の日本の学校では満足できないと言ったいい意味でのこだわりや情熱を持たれている学生さんが多いのかもしれませんね。PTSDとトラウマの心理療法 心身統合アプローチの理論と実践

Q: ところで、先日翻訳を出版されたご本について聞かせてください。どんな内容の本なのですか?

A: 邦訳タイトルずばりの内容です。近年、PTSDやトラウマ関連の本は増えてきてはいるのですが、そのほとんどが、研究・調査が中心であったり、ある特定の療法についての解説であったりします。私の知る限り、学派にとらわれず、どのような臨床家にも有益で、脳・認知科学や発達心理学などの基礎研究・理論からセッションの逐語記録を含む具体的な実践まで、バランスよく、読みやすくまとめられている著作はほとんどありません。この本は心身のつながり、統合と言う観点から、そういったものをすべて満たしている稀有な一冊だと思います。

Q: あの本を和訳することになったきっかけはどんなことだったのでしょうか?

A: 日本に是非とも紹介されるべき本だと感じました。私が本書と出会った2005年当時でもまだ邦訳がなく、また日本では全く知られていないようなので、それなら自分でやるしかないと考えました。運よく創元社の編集者の方が心身のつながりに関わる企画を考えられていたタイミングと合い、翻訳が決定しました。その後、多少の紆余曲折もありましたが、内容的にこの本の持つ背景まで考慮したうえで訳せるのは自分しかいない!と言い聞かせながら地道に翻訳作業を続けました。

Q: CSPPの在校生、修了生と、CSPPに興味のある人に向けて、メッセージをお願いします。

A: 在校生、修了生の方は、クラスを担当している7期生以外にはそれほど面識はないのですが、CSPPコミュニティの一員として、お互いを尊重しながら、自信をもって切磋琢磨していきましょう。今後ともよろしくお願いいたします!

次にCSPPに興味のある人にですが、率直に言って、臨床心理学・心理療法を本格的に学ぶのなら、米国への留学は大きな選択肢です。ただ留学には金銭的にも、キャリア的にも、言葉の面でも多くの困難やリスクを伴います。CSPPの臨床心理学修士課程は、社会人を続けながらでも、米国の臨床心理専門大学院の正規の修士号がとれ、また日本の臨床心理士の受験資格も海外大学院枠で得られます(指定校のような臨床経験免除の優遇措置はないですが、中長期的に見ると急がない方がよかったりもします)。もちろん米国流のプログラムの修了はハードでしょうが、実力がつき、お得なのではないでしょうか。無数の大学が臨床コースを持っている現在、差別化という意味でもCSPPの学生、修了生であることは、存在感をアピールできるのではと思います。

最後に、続編の『PTSDとトラウマの心理療法:ケースブック』の邦訳も10月頃に出版の予定ですので、そちらの方もよろしく!

どうもありがとうございました!